エスキス時間を削る、それは合格を諦めること

試験時間は6時間30分。限られた時間のなかで問題を解くことはとても大変なことです。
そのため、出来るだけ早くエスキスをあげることを指導しているところも多いのですが、私はそれは大きなギャンブルだと思っております。
記述と作図の悪さは失格要件を免れれば減点で済みますが、エスキスの悪さは=不合格であるからです。
仲間とオーストラリアで待ち合わせていたのに自分だけ間違えてオーストリア行ってしまうようなものです。
季節も景観も全く違うところなのです。
行き先をしっかり確認するために登場手続きが遅れそうになっても、間違ったゲートに入ってしまうより、まだ可能性があります。
過去に私クラスのある生徒さんは始めての製図試験で図面を書き上げられず不合格になってしまったため、とにかく2時間以内にエスキスをあげ誰よりも早く作図を終わらせることに命を懸けておりましたが、合格することができず、私に相談に来たため、「あなたは学校の課題でも、当たりと外れが激しかったのではありませんか」と訪ねたところ「その通りです」
「では、試験で当たりを引くまで辛抱強く何年も待てますか?」と聞いたところ「今年で最後にしたいです」とのことでしたので、確実なエスキスで望み必ず合格しましょうと誓い、方針をかえ、見事その年に合格できたのでした。
エスキスに時間をかけるためにには勿論特別な方法がありますが、それは別の機会にお話致します。

高校入試の試験範囲は?

唐突な質問ですが中二の2学期期末試験、試験範囲はどこでしょう?
こたえは、中二の2学期中間試験後から期末試験までの間です。
では、高校入試の試験範囲は?
これは中学校での学習範囲です。
大学入試であれは同じく高校までのそれとなります。
では、一級建築士の製図試験の試験範囲は?
そう問われると当たり前のことですが、一級建築士の知識がなければ出来ない課題は出ないと言えるとわかるはずです。
ただし、全員学科合格者なのですから学科までの知識は必要です。
しかし、製図の課題発表から試験まで2ヶ月少しあり、皆さんが通う学校ではその年の課題の資料を用意し、詳細を講義してくれる訳ですからここは心配要りません。
であるにも関わらず下手に建築の知識を振りかざそうとしたときに大きな減点を食らうものです。
前項でも触れたように、まず素直に問題文に従うことが合格への近道なのです。

建築の知識よりまず日本語が大事

以前、その年の課題で合格できなかった方々の反省会と言う名の忘年会に誘われ出席したさい、興味深い話を聞けたのですが、その方のご主人は大学の教授をされているのだそうですが試験に落ちた後「課題は難しかったの?」と聞かれ問題文を渡したところ、1時間ほどじっくり読んだ後、おもむろに紙にエスキスの真似事をされ始め「こんな感じ?」と渡されたものがNが用意していた解答例とほぼ一緒だったため、「何で建築士でもないあなたが出来るのよ」と言い返したところ
「だって問題文にこうしなさいって書いてあるよ」との名言を残されたとのことです。
そうなんです。製図の試験には、さして建築的な知識は必要なく、まずは問題文を素直に読み解くことが大事なのです。
先にあげた4つの質問でも後者の方が合格率が高いのは、建築的な知識が乏しいものほど問題文を良く読み、建築的知識の豊富なものほど勝手な思い込みが強いため問題文から解離してしまうためです。
建築士たる前にまず日本人たれです。

4つの質問

私は毎年、開講まもない頃、生徒さんに必ず次の4つの質問をしていました。。
次にあげる二者のうちどちらの合格率が高いでしょう?
①実務設計者とそれ以外
②実務設計者のうち意匠設計者とその他(構造、設備、電気)の設計者
③ベテランとキャリアの少ないもの
④男と女
一般には前者が高いと思われておりますが、製図から組では、ほぼ間違いなく後者が合格率が高いのです。
理屈で言うと男でベテランの意匠設計者はなかなか合格できないとなりますが、実際そのようなことが多く、私たち講師はこれを設計事務所のバカ(大変申し訳ございません、私も設計事務所の人間でございます)といい、注意しておりましたし、生徒さんに自覚するよう促しておりました。
こちらは説明に時間を要しますので、お会いしたときにくわしく説明いたします。
7月までに、改善することで合格組に移行していただきます。

製図合否は7月までに決まる❗

私が講師時代に年明けの開講でまず皆さんにお話ししたのは「製図試験では、学科試験のように試験一週間前に会社に有給を申請して休みをとっても効果がない」と、言うことでした。
試験課題はまだ発表されていない今こそが最も大事だと。
例年、教育普及センターや国交省から合格率の発表がありますがそのなかに、学科からの受験者と製図からの受験者の各々の合格率が発表になりますが毎年後者の方が10ポイントほど合格率が高いのです。
皆さんが通われている学校でも学科から組よりも製図から組の方が出来が良いように感じるはずです。
でも、良く考えてみてください。製図から組って昨年落ちた人の集まりですよ(私のクラスは落ちた人の集まりのためあえてこの言い方をいておりましたm(__)m)。
では、なぜ、製図から組は強いのか。
それは学科から組がまだ学科の勉強をしているときにもう、製図の勉強が出来るからなんです。
今年の課題が何であるかは重要ではありません。
過去の課題を使っても十分に製図の勉強は出来るのです。
この事を理解頂いて決して休まないようにお願いいておりました。
合否は7月までに決まるのです。